JP7FKFの備忘録

ヒトは,忘れる生き物だから.

FCC試験にチャレンジした話

日本でアマチュア無線を楽しもうと思うと,日本無線協会が主催する試験に合格するなどして,1〜4級のアマチュア無線資格を得て運用を開始することが一般的だ.この度米国管理下の土地で運用をすることとなり,米国のライセンスが必要となったことや,もともと米国のコールサインがほしかったこともあって,FCCアマチュア無線試験を受験してみた.その時のあれこれを少しだけ書いておく.

米国アマチュア無線試験(FCC試験)は,実は国内で受験することができる.というのも,すでにFCCライセンスを所持しており,ARRLなどのVECに認定されたボランティア試験員(VE)による試験が行われているからである.この試験員のもと試験を受け,結果を米国に送付し,審査され,無事通ればライセンスゲットということになる.面倒なお役所が主催する試験をわざわざ受ける必要がなく,全国に数多くいらっしゃるボランティア試験員のもと試験を受けるだけでライセンスが手に入るといういかにも米国らしいシステムである.このほうがアマチュア無線人口も増えそうだし日本もこんな感じにすればいいのにとか1mmくらい思っているけど,あんま変わらないか.

受験するにあたって一番めんどくさいこと

受験に際して必要なもので,一番めんどくさそうなのが米国内の住所である.これはもともとは免許を送付したり,お叱りを受けた時にお手紙を受け取ったりARRLのニュースを受け取ったり?するために必要だったが,今ではもうFCCのweb からライセンスのOfficial Copyがダウンロードできるし,免許を受け取るにあたって住所はあまり重要ではない.しかしながらそれ以外の目的で使われることもあるので必要である.海外に知り合い,お友達がいる場合はその住所を借りることもできるだろうし,海外の郵便局に私書箱を借りてそこを使うという手もある.これを用意するのが意外とめんどくさいものだ.

受験できそうならまずはFRNをゲットする

FCC Registration Numberというものをあらかじめゲットしておく.これはVEC Tokyo-VE Teamに詳しく書かれており,これを参考にすれば良い.

いよいよ受験.ささやかな受験体験記.

受験するには各地のVEチームのwebサイト等から受験申し込みをする.セッションの日程が公表されているのが一般的であろうから,そこから自分が受験できそうなセッションを選んで受験申し込みをする.申し込みさえすれば,後は勉強をするのみ.勉強は,ARRLのページにQuestion Poolというものがあり,試験に出る問題はこの中にすべて記載されている.はっきり言ってしまえば,全問題の答えを丸暗記してしまえば確実に合格できてしまうのだ.たとえ理解できていなくても.
Question Pools - ARRL
ここに,Element2から4の問題がある.Element2に合格すればTech.級,Element3まで合格すればGen.級,Eleemnt4まで合格すればExtra級のライセンスを得ることができる.私はこのQuestion Poolの全てのElementの問題を全てプリントアウトしてファイリングした.試験2週間前程度から読み始めたのだが,なかなか苦戦するものである.私は英語が堪能ではないので,まず問題文と選択肢の英語で躓いてしまった.しかしこれは少しずつ辞書を引いたりしつつ問題をこなしていくうちに試験問題のボキャブラリーは溜まっていくもので,問題文を眺めていくうちに英語には慣れた.米国で特徴的な法律関係の問題は,できるだけ頭を素にして,素直に理解するように心がけた.反対に工学系の問題は,自分の知識をうまくmixして問題に向かった.工学の基礎となる物理現象,電磁気学は世界共通であるから,これは自分の理解でほとんど賄うことができた.しかしながら勉強を始めるのが遅かったせいで,試験当日までGen.までの問題しか見ていなかった.

いよいよ試験である.試験に必要なものは15$程度の試験料金,FRNのナンバー,Form 605 Application, 筆記用具,場合によって電卓などである.電卓は関数電卓でない一般的なものであれば利用可能らしい.試験は問題冊子と解答用紙,計算等のメモに利用できるスクラッチペーパーが渡されて実施される.解答は自分の解答を黒く塗るタイプであった.問題用紙にはFRNのナンバーと,米国内の住所を記載する必要があるが,私の試験を主催してくれたチームでは,それらを覚えていられなければ付箋1枚に記載して机に貼り付けることが認められた.私はとりあえずGen.まで受かればいいかと思って試験を受けた.Element2, Element3は意外と問題を忘れてしまっていたりしてかなりドキドキだったが,いずれも合格だった.FCCの試験は受験して解答用紙をVEさんに渡せばその場ですぐに採点してくれるのが大きな特徴だ.その後Element4も受験した.落ちるのを覚悟の上の受験だったが,問題は意外と工学の内容が多い上に,法律の問題もElement3までの法律の雰囲気がわかっていれば解けそうなものであった.工学の内容が多かったことはとてもアドバンテージとなり,普段勉強している電子工学系や,EME等でお世話になっているJT65などの専門的な問題を解くことができたように感じた.受かるとは思っていなかったが,Element4にも合格し,私は晴れて1day Extraとなったのだった.

合格後は

合格すると,CSSEと呼ばれる証明書を受け取る.複写されたものは605application とともにARRLに送付されて審査を受けるようだ.私の場合は5日程度でULSに免許情報が反映された.なんと早いことだろう.日本なら受験して合格発表されるまでに1ヶ月以上?さらに局免を申請して受け取るまで1ヶ月というところだろうか.試験を受験してから電波を出すまでに2ヶ月以上かかることになる.それに対しFCCライセンスは試験を受験してから1週間程度で電波を出せてしまうのだ.米国のこのスピーディーなシステムには非常に感心するところである.

そんなこんなで私は10月にExtraライセンスを手に入れていたのだった.
これがCSCEと呼ばれる証明書. f:id:jp7fkf:20171108105654p:plain
ライセンスはULSからダウンロードできる.またメールでの通知もある. f:id:jp7fkf:20171108110153p:plain

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