JP7FKFの備忘録

ヒトは,忘れる生き物だから.

アンテナチューナを自作してみた話

アマチュア無線をやっていると,無線機とアンテナを接続して電波を出すことになる. アンテナと無線機は一般に50Ωの特性インピーダンスで統一されて設計されている. この特性インピーダンスがアンテナと無線機であっている(整合している)ということは,無線機から電波を出す上で大変重要なファクターとなる. なぜなら特性インピーダンスが等しくないと,インピーダンスの不整合点で反射波が生じ,反射波と進行波の波の合成によって定在波が生じる.これはいわゆるSWRやVSWRと呼ばれるもので,定在波比というパラメータで大きさが評価されることになる. 定在波比は1が最小で反射波がない状態,最大は無限大で,これは進行波(送信した波)と反射波(帰ってきた波)の大きさが等しい,つまり送信した波がすべて反射して帰ってきてしまっている状態を示す.一般にVSWRは1.5以下であればよいなどと言われている.私もそのあたりが大体の目安になると思っている.

前置きが長くなったが,このアンテナと無線機の間のインピーダンスが仮にあっていなかった場合,それはアンテナを作り直したりしないといけない.さらに細かくいうと,アンテナのインピーダンスというのは周波数によって変化するものなので,少し周波数がずれただけでVSWRが著しく大きくなってしまうこともある.特に短縮してあるような帯域が狭いアンテナを使っていたりするとこれは顕著だ.そこで登場するのがこのアンテナチューナーである. アンテナチューナは主としてコイルとコンデンサから構成されている. これらのLとCをうまく調整してアンテナと無線機のインピーダンスを整合してやるというものだ. 整合するためになぜLとCを使うのかは,スミスチャートを用いて解説することができるが,ここでは割愛する.簡単に言えばLとCを直列や並列にうまく置いてやると,整合が取れてしまうのだ.Rを入れない理由は損失を生じさせたくないからである.

今回はHFで使えるようなアンテナチューナを製作した. 回路的には250pF(1kV)なバリコンを2つ,4μHくらいの手巻きのコイルを用意した. これらを使ってΠ型マッチング回路を構成した. Cが並列,次にLが直列,さらにCを並列にしたような回路である. このLにはタップを取ってあり,このタップのセレクタースイッチとしてロータリースイッチが付いている.こいつを回すことでLの値を変化させることができる. バリコンはただ固定されていてつまみがついているだけ. 同軸コネクタはHFでの利用を考えているのでMコネクタをつけた. こいつらを回路通りに組み上げる. 回路はこんな感じ. f:id:jp7fkf:20170822184128p:plain:w500

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コイルは直径29mmくらいの適当なパイプに巻きつけてだいたい20回くらい巻いてみた. これはかなり適当.作ってみてどのくらいインダクタンスがあるか測定して考えようと思っていた. 巻いたら一旦パイプから外して,アクリル板に穴を開けまくったいたを通してくるくると入れていく.これが保持具となる. これでだいたい4μHくらいあった.7MHzで使うには少し足りないかもしれない.3.5MHzで使うなら完全に足りないので,あとで追加でもう少しLを入れてあげる必要があると思っている.これはあとあと改良予定ということで. f:id:jp7fkf:20170822184603j:plain:w500
配線は3D-2Vの割と細めの扱いやすいケーブルで配線を行なっている.GNDラインは3D-2Vの外部導体の編み込み線を使って配線した. コイルのタップはコイルの良さげなところ(完全に勘で適当)をヤスリで削って被覆を削り,銅を露出させて予備半田をしておく. これに同じく予備半田を施した錫メッキ線をいいかんじにはんだづけしてやる.ロータリースイッチ側も同様にして配線. これでくるくるとロータリースイッチを回してタップをいじれるようになる.

さっくりみてみた感じはちゃんとチューナとして動作していそうなので一安心. これである程度アンテナのインピーダンスがずれていても使えそうです.よかった.

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