JP7FKFの備忘録

ヒトは,忘れる生き物だから.

DC Blockを作ってみた話

DC Blockとは何か

スペアナとかネットアナとか,高周波測定器とかを使うようになると, DC Blockと呼ばれるものが欲しくなったりする.
これは一体何かと言うと,その名の通り,高周波のみを通過させ,DCを通さないようにする部品である. 感の良い人はすぐにわかるであろうが,つまりキャパシタを伝送線路に対して直列につければよい.というわけで私でも作れるはずである. しかしながらこれがなかなか曲者なのである.高周波部品である以上,できるだけS21特性,S11特性などがよいものであってほしいものだ. S21パラメータは周波数が上がるにつれ,小さくなって行く傾向にあり,S11特性は大きくなる傾向にある.GHz帯で用いるパーツとしては,この特性が良好な機材を作りたいものである.

作った

今回は,〜8GHz程度までを対象としたDC Blockを2つ作製した. 伝送線路はマイクロストリップ線路を用い,コネクタはSMAコネクタのメス(秋月の安いやつ)をつけた. 1つ目は1000pFのチップキャパシタ(1608)をつけたもの. 2つ目は1000pF,2200pF,3300pFを並列にしたものを伝送線路に対して直列につないだものだ. それぞれ制作したものの画像は以下のようになっている.
- 1000pF
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- 1000pF, 2200pF, 3300pFパラ
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これらをネットワークアナライザを用いて測定し,S21,S11パラメータを測定した. 特性の参考にMini-CircuitsのBLK-89+というDCブロックと比較をしてみた.
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さすが製品なだけあって,Mini-Circuitsの特性は非常に良い.
DC_Block_001が1000pFをつけたもので,DC_Block_002が3つキャパをつけたやつ.DC_Block_001の特性はお世辞にも良いとは言えない.3GHz付近でS11は-20dBを超えてしまっている.S21も7GHzあたりでは-2dBくらいある.DC_Block_002では,概ね8.5GHzまでS11は-20dB以下,S21は-1.5dB以下となっている.こちらは使い物になりそうである. BLK-89+はさすがであり,S11は概ね-25dB以下,S21は-0.5dB以下である.曲線も美しく,素晴らしい特性である.DC_Block_002のほうは,S11的にはBLK-89+に引けを取らないような感じに見える.5dBくらい負けていたりするけど.S21のほうは悪くないが,BLK-89+と比較してしますとやはり劣るように見える.しかしながらそれなりに使い物にはなりそうである.おそらくSMAコネクタの損失等でS21が低下している部分もあるのだろうなぁと思う.まともなコネクタをつけて,半田付けをもっと上手にするとか工夫すればもっとよくなりそう.とりあえずは使えそうなのでこれでしばらく使ってみようと思う.

References

Mini-Circuits, DC Block, BLK-89+ Datasheet