テクトロニクスのオシロスコープTDS3012Bを修理する話
テクトロニクスのオシロスコープをヤフオクで入手した.
DPOなTDS3012Bである.
帯域100MHzの2ch入力品.
一応起動することは確認されて販売されていたが,到着して開封して操作して見ると,HORIZONTAL(時間軸)のつまみがおかしい.何やらどちらに回しても10sec/div等になってしまって思うように操作ができない.うまいこと操作すると(タイミングとか運による),時間軸が拡大されることもあるが,これではストレスが溜まってしまってダメである. なんとか自分で治すことができないかとチャレンジしてみた.
まずは筐体を分解する. コンセントを抜いて,まずは取っ手を外していく.マイナスドライバーで横のカバーを開けるとこんな感じ.
中央のトルクスネジを外して,左下の周り止めピンをラジオペンチ等で抜く. すると白い部品が外れてその奥の黒いパーツが回るようになる.これを抜ける位置まで回して引き抜くと取っ手が外れる.これを左右両方やる.この黒いパーツがカバーの固定も兼ねているので,これを引き抜くと外側のカバーも外せるようになる.
背面パラレルポートの下のトルクスネジを外し,コミュニケーションモジュールも取り外す. そうすると背面のカバーがすっぽりとはずれる.
勘で分解していく.まずはFDユニットを取り外す. 電源モジュールまわりのトルクスネジを外し,モジュールと接続されているコネクタを全て抜いて取り外す.フレキもあるので慎重に. するとメイン基板が見えてくる.
正面付近にあるIF基板にアクセスするためにさらに分解を進める.
液晶との接続ケーブルを慎重に外してIFパネルとのケーブルも外す. 左下の入力モジュールの部分にもトルクスネジが隠れているので忘れずに外す.
メイン基板の裏はこんなかんじ.すごい.
メイン基板が外れたところ. さらに液晶モジュールを外す. シールドと一緒になっているので注意. ここはタッピングで止まっているらしい.
そうするとIFボードが見える.
このIFボードに異常があるはずだ.
正面から見て右側のコントロールパネル部と左側のボタンユニット.
ロータリーエンコーダのはんだ当て直し,チップまでの配線の確認とチップへのはんだ当て直し等行ったが改善せず.信号ラインに問題があるのかと紫のケーブルをチェックしたが問題なし.途中のトランジスタが死んでいるのかと検討をつけたがどうも正常のようだった.最終的にはロータリーエンコーダのチャタリングと推測した.しかしながらこのロータリーエンコーダはそう簡単に手に入るものではないように思えた.よって今回はロータリーエンコーダの信号線とGNDの間にチップセラミックコンデンサを追加しバイパスコンデンサとして動作させ,チャタリングを抑えるような対策を行った. この対策の結果,ロータリーエンコーダは正常動作するようになり,HORIOZONTAL軸が思い通りに動かせるようになった.
各種ボタン部分の洗浄等も行い,綺麗に元どおりにした. これできちんと動作するオシロスコープになった.めでたし.