Cisco Aironet APの動作モードを変更する
概要
Cisco AironetシリーズのAPにおけるAPモードにはWLCを利用してconfigurationを行い動作する'Lightweight Mode'と,単体でスタンドアロンモードのように自律動作する'Autonomous Mode'が存在する.
この記事ではCisco Aironetシリーズのモード変更を行う際の手順やメモを紹介する.
基本的には下記を参照している.
Lightweight - Autonomous AP変換方法 - Cisco Community
はじめに
Cisco AironetシリーズのAPは,Lightweight ModeとAutonomous Modeの2つのモードをもち,Lightweight ModeではWCLとトンネルを張り,WLCからconfigをLoadし,その後もWLCからのコマンドにより動作をするが,Autonomous Modeでは通常のSW等と同様にAP内部にconfigをもち,その設定をもとに動作する.
今回はCisco AironetシリーズのAIR-CAP1702I-Q-K9
に対して操作を実施した.
Lightweight ModeとAutonomous Modeの変更方法
購入直後は,Lightweight Mode, Autonomous Mode両方のconfigがAPに内包されているようである.
出荷状態であれば,何もしなければLightweight Modeで動作し,これをAutonomous Modeで動かしたい場合は下記のコマンドによりコンバートを行うことができる.
AP 1700 OS コンバートの仕方 - Cisco Community
ap# capwap ap autonomous
なお,このコマンドを入力した場合,2つあったLightweight ModeのイメージとAutonomous Modeのイメージのうち,Lightweightモードのイメージは削除されてしまうめ注意が必要だ.このコマンドでAutonomous ModeにしたAPを,Lightweight Modeに戻したい場合等は下記に示す手順によってFirmwareを入れ替える必要がある.
Lightweight ModeとAutonomous Modeのイメージの違い
Lightweight - Autonomous AP変換方法 - Cisco Communityによると,IOSの記号番号によりIOSの種別が判別できるそうだ.
RCVK9W8 リカバリ IOS (工場出荷時にインストールされている集中管理型用 IOS) K9W8 集中管理型 AP (Lightweight AP) IOS K9W7 自律型 AP (Autonomous AP) IOS
たとえば下記のようなOSのAPがあるとする.
ap# show version | inc IOS Cisco IOS Software, C1700 Software (AP3G2-K9W7-M), Version 15.3(3)JH, RELEASE SOFTWARE (fc3)
するとこれはK9W7
に該当するのでAutonomous Modeで動作していることがわかる.
Lightweight ModeからAutonomous Modeに切り替える場合はAutonomous Modeを示すK9W7
が記載されているFirmwareを,Autonomous ModeからLightweight Modeに切り替える場合はLightweight Modeを示すK9W8
が記載されたFirmwareをそれぞれ事前に入手しておくことが必要である.
Lightweight ModeからAutonomous Modeへの変更
基本的にはコンソールでのログイン後,下記のコマンド群で実施が可能である.
ap# capwap ap ip address <ip_addr> <mask> ap# capwap ap ip default-gateway <gateway_ip> ap# show capwap ip config ap# debug capwap console cli ap# debug capwap client no-reload ap# archive download-sw /create-space /overwrite tftp:<path_to_file> // K9W7(Autonomous Mode)のFirmを指定する. ap# dir flash: ap# show flash ap# show boot ap# verify <path_to_file> ap# reload
上から追っていく.まず,APへのIP address, gateway等の設定を行う.これはFirmwareを流し込む上でftp, tftp等を利用する場合にL3疎通性を確保するためである.その後debugモードを有効にし,archiveコマンドが打てる状態になる.このdebugモードを有効にしていないとarchiveコマンドは正常に発行できないので注意する.その後archiveコマンドを用いてftp/tftp等でFirmwareを転送する.create-space,overwrite等のoptionsは状況/好みに応じて付与するとよいだろう.転送が終了したら,show flash
, show boot
等のコマンドを用いてboot imageが正常に転送されているか,所望の通り変更されているかを確認する.最後にreloadを実施すると,次回そのimageでbootする.
転送後に必要に応じてverifyコマンド等でmd5をチェックしておくと安心である.
Autonomous Mode からLightweight Modeへの変更
上記とほぼ同様である.流れとしてはL3疎通性を確保し,archiveコマンドで書き込み,確認後reloadを行う.
ap(config)# interface bvi 1 ap(config-if)# ip address <ip_addr> <mask> ap(config-if)# no shutdown ap(config-if)# interface GigabitEthernet1 ap(config-if)# no shutdown ap(config-if)# exit ap(config)# ip default-gateway <gateway_ip> ap(config)# end ap# archive download-sw /create-space /overwrite tftp:<path_to_file> // K9W8(Lightweight Mode)のFirmを指定する. ap# dir flash: ap# show flash ap# show boot ap# reload
前半のip指定については,Autonomous Modeで運用している場合は多くの場合すでに付与されていることがほとんどであると考えられるため,多くの状況で省略可能であると思われる. 後の手順はLightweight ModeからAutonomous Modeに変更する手順とほぼ変わらない.
まとめ
- Cisco AironetシリーズのAPにおけるAPモードにはWLCを利用してconfigurationを行い動作する'Lightweight Mode'と,単体でスタンドアロンモードのように自律動作する'Autonomous Mode'が存在することを紹介した.
- Lightweight Mode, Autonomous Mode双方のモード切り替えをFirmware Imageを入れ替えることで実施する例を紹介した.
おまけ - MacOSでtftpサーバを動かす.
# 起動 sudo launchctl load -w /System/Library/LaunchDaemons/tftp.plist # 終了 sudo launchctl unload -w /System/Library/LaunchDaemons/tftp.plist # portが空いているか確認 sudo lsof -i:69 ## MEMO # /private/tftpboot 配下が転送ディレクトリとなる.permissionに注意する. # イメージをputする場合には/private/tftpboot 配下に同名の空ファイルが必要なようである(createの権限不足?). # workaroundとしては,touch コマンド等を利用してからファイルを作成.chmodを実施し適切にpermissionを設定するとよい.