さくら野百貨店 仙台店 が破産した話.
百貨店のビジネスモデル
この前私の住んでいる宮城県の仙台駅近くにある"さくら野百貨店"が店を閉じることになった. さくら野百貨店を運営していたマルシェという会社によれば,負債総額が31億円,約120人の従業員は解雇ということになるようだ. さくら野仙台店の売り上げはこの10年で半分程度に減少していたようで,駅前の競争に負けてしまったようだ. 競争相手は駅前の店だけでなく,仙台港周辺や,泉,錦ケ丘にあるいわゆるアウトレットモールと呼ばれる大型のショッピング施設, また,長町や泉中央付近にあるショッピングモール等との競争もあるものだと思われる.特にここ10年ではアウトレットモールが 立て続けにオープンしていたと思う.そのような側面もあるのだろう. 近年入ったH&M,上階にあるムラサキスポーツやBOOK-OFFなどによる利用客の増加を見込んだそうだが,百貨店独自の高級感, ブランド感という面では裏目に出てしまったようだ. 私が知る限りさくら野になる前はビブレという名前で営業していたことを覚えている. 長く続く百貨店が幕を降ろすことになったという衝撃はなかなか大きいものだ.
百貨店離れ
やっぱりこれはあると思う.いわゆる百貨店と呼ばれるところに行く必要がなくなってきた. ネット販売もあれば,専門店が直接街にショップを出したり,アウトレットモール的なところに出したりしている. 百貨店に行く機会も以前と比べたら格段に減ったのではないだろうか.
百貨店のしくみ
百貨店ってどういう風に利益を出しているのかわからなかったので調べて見た. 普通のショッピングモールとかと違うのだろうか?ショッピングセンターとの違いは?という疑問が湧いた.
仕入れの仕組み
委託仕入と消化仕入 両方とも,売れたぶんだけを百貨店側が仕入れたことにする仕組み. 商品が売れると,その売上高の一部を仕入れ代金としてサプライヤー(ブランド店)に支払う. 2つの違いは在庫が誰のものになるからしい.消化仕入なら,在庫はサプライヤーのもの,つまりそのブランド店などの専門店のものとなる. 委託仕入なら,その百貨店のものとなる.そしてこの場合,売れ残ったらサプライヤーに返品という形をとる.
ショッピングセンターとの違いは何なの
ショッピングセンターは上に述べたような百貨店を仲介しているような商品の売買は行われない. ショッピングセンター内にそれぞれのショップが賃貸借契約を結ぶ. これはショッピングセンターのこの区画を貸してもらって営業させてくださいというもの. 要するに土地を借りたり部屋を借りたりするのと同様だ. 商品が売れようが売れまいが,ショッピングセンター側は関係がない. それぞれのショップが商品を売ったり,従業員を雇って,売り上げはすべてショップのものとなる. その代わり,ショッピングセンターにショップを持つとなると,出店保証金等の初期コストがかかる, 反対に百貨店は純粋な売り上げの一部を百貨店側に支払っている代わりに,出店保証金などはかからず,ショップの内装なども 百貨店との協議によって負担割合が決まったりするそうだ.
で?
百貨店が収入を得るには,入っているショップの売り上げというものがとても大事になってくるということですね. ショップの売り上げがないことには百貨店側の利益は存在しないわけです. もちろんショップの売り上げが減ることによるショップ自体への影響ありますが,百貨店と共同で 商品を売っているようなものでもあるので,ショップだけの影響ということにはなりません. 反対にショッピングセンターの場合,入っている店舗の売り上げがどうであろうが,ショッピングセンター側は ショップとの賃貸借契約に基づき, 一定の収入を得ることができることになります.なのでこの場合, ショップの売り上げが減れば,ショップ自体の経営が難しくなり,最終的にはそのショッピングセンターから 撤退するなどといった措置を,ショップ側が取るということになります.
総じて,ショップから見ると百貨店は店舗を出しやすいが,売り上げの一部を百貨店に支払わなくてはならない,百貨店から見ると,ショップの誘致等はしやすく,百貨店の売り場の雰囲気づくりや,百貨店ブランドを形成しやすくなるが,ショップの売り上げがないと百貨店は生きていけない.
また,ショッピングセンターは,ショップの売り上げに左右されることなく常に一定の賃貸借料をもらえるが,ショップが入ってくれないことには収入がない,ショップとしては,ショッピングセンターに比較的初期投資にコストがかかるが,売り上げはすべて自分のショップのものとなる.
ということになると思います.
References
百貨店のビジネスモデルを探れ
仙台駅前「さくら野百貨店」が破産 駅前競争に屈す
J-Net21 ビジネスQ&A
現代流通の仕組み