JP7FKFの備忘録

ヒトは,忘れる生き物だから.

SONY APMスピーカーのエッジ張り替えをしてみた話

身の回りに壊れたスピーカーがあったので修理してみた. スピーカーのコーン部分は,エッジと呼ばれる部品を通して外側のフレームに固定されている. このエッジは,コーン紙を支える役割や,ボイスコイル,コーン紙の振動により生じた音圧のうち,フロント側に出るものとバック側に出るものを分けてやる効果などがあるようだ.これがないと特に低周波でフロント側の信号とバック側に出た逆位相の信号が打ち消しあってしまい,キャンセルされて低音が出にくくなったりしてしまう.

このスピーカーエッジなのだが,素材としてウレタンが多く利用されていたりする.このウレタンは,長期間使用していると経年劣化で加水分解し,ボロボロになってしまい,スピーカーエッジとしての機能を果たさなくなってしまう.こうなってしまった当該スピーカーが以下のような感じだ.中を開けてみると.

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完全にウレタンがボロボロになり取れてしまっている.
一方はセンターキャップが凹んでしまっていたので手で曲げて直してやった. f:id:jp7fkf:20171110155816j:plain
曲げ直してあげてこんな感じ.薄いアルミ版か,スズかなんかでできているような気がする.とても柔らかい. ちなみにこのスピーカーはSONYAPMと呼ばれるシリーズで四角い平面の振動板が特徴であるそうだ.今回はこのウレタンエッジを除去し,このスピーカーに合うエッジを自作して交換してみた.

まずは振動板や外側のフレームに残留しているウレタンエッジを綺麗に除去するところから.完全に除去しないと音に影響があるとかそういうのはよくわからないが,交換するのだから前のゴミが残っているのは接着するときにもよくないと思う.なのでできる限り綺麗に掃除してあげよう.掃除には無水エタノールや,カッターナイフの刃とかを使ってあげて,ウレタンエッジを引き剥がしてやる.

さて,ここからが問題である. 高級なスピーカーだとメーカーからエッジ修理キットなどが販売されており,これを利用すると替えのエッジと,接着用のボンドなどがセットになっており,比較的簡単に交換が可能である. しかしながらこのAPMはそのようなものは提供されていないようで,しかも拾い物のスピーカなので,あまり修理にお金をかけたくはない.なのでスピーカーエッジそのものを自作してみることにした.

スピーカーエッジを製作するにあたって,材料は次のようにした.主材料は黒い薄い布を用い,これに液体ゴムを塗布する.流れとしては,まず,エッジとしての形を作るために,3Dプリンタでエッジの型を製作する.これに両面テープ等で布を接着し,形を作った上で液体ゴムを塗布していく.固まったら型から引き剥がし,適当な大きさに切って,スピーカーにボンドで接着する. 人によってはシリコンコーキング剤をシンナーで薄めて塗布していたりするらしい.私は下記の人の記事を参考にしながらやったのだが,この人はシリコンでやっていた.私は手近に液体ゴムがあったのと,水溶性で扱いやすそうであるから液体ゴムを選択した.
APM33W エッジ修理

このAPM スピーカーのフレーム,振動板の大きさを考えて,内寸48mm程度,外寸55mm程度,厚み3mm程度の正方形状のオブジェクトを作成し,各辺に接するような円を作成しなめらかなエッジとなるようにした.言葉だけではわからないので,モデルは以下の画像ような感じ.
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こいつを3Dプリンタで出力して型にする. これに黒い布を両面テープで接着して,液体ゴムを塗る. 塗って乾燥を2〜3回程度繰り返し,厚みを調整する.これは好みの暑さになればいいと思う.私はそれなりの形状保持ができる程度の厚みとした. これを実際のスピーカーユニットに適合するように切断して
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ボンドで接着をする. f:id:jp7fkf:20171110160927j:plain
見た目はエッジっぽくなった.
ちなみにボンドはこいつを使った. コニシ ボンド Gクリヤースリム #14329 20ml
乾燥したら組み上げ直して,いよいよ音を出す. エッジがボロボロだった時とは打って変わって,低音がしっかりと出力されるようになった.好みでエージングとかやって見ても良いと思う.

というわけで,スピーカーエッジはうまく動いているみたいです.前までは低音が全然出なくて聞くに耐えなかったけど,いまでは問題なく聞けるレベルになっています.めでたし.

References